令和5年6月2日、戸籍法(昭和22年法律第224号)の一部改正を含む「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和5年法律第48号。以下「改正法」)が成立し、同月9日に公布されました。
これまで、氏名の振り仮名は戸籍の記載事項とされていませんでしたが、この改正法の施行により、新たに氏名の振り仮名が戸籍に記載され、公証されることになりました。
改正法は、令和7年5月26日に施行されます。

1.戸籍に氏名の振り仮名が記載されるまでの流れ

(1)記載する予定の振り仮名の通知(令和7年5月26日以降、順次送付)

 住民票において市町村が事務処理の用に供するため便宜上保有する情報等を参考に、本籍地から戸籍に記載する予定の振り仮名を原則として筆頭者宛てに通知します。
この通知は、改正法の施行日(令和7年5月26日)から順次送付予定です。

送付されましたら、内容を必ずご確認ください。

(2)氏名の振り仮名の届出

通知された氏名の振り仮名が日常使用している振り仮名と同じ場合

氏名の振り仮名の届出は不要です。市区町村長の職権で通知された氏名の振り仮名が戸籍に記載されます。

通知された氏名の振り仮名が日常使用している振り仮名と違う場合

令和7年5月26日から1年以内に限り、氏名の振り仮名の届出ができます。
この届出が受理されれば、届け出た氏名の振り仮名が戸籍に記載されることになります。

手続きについては、「2.具体的な届出の方法」をご参照ください。

(3)市区町村長による振り仮名の記載(令和8年5月26日以降)

令和7年5月26日から1年以内に届出がなかった場合、市区町村長の職権で通知された氏名の振り仮名が戸籍に記載されます。
なお、市区町村長の職権で記載された振り仮名は、1度に限り家庭裁判所の許可を得ずに変更することができます。

2.具体的な届出の方法


(1)届出をすることができる方について

「氏の振り仮名の届書」と「名の振り仮名の届書」は、それぞれ届出をすることができる方が異なります。

「氏の振り仮名の届書」の届出人について

原則として戸籍の筆頭者が単独で届け出ることになります。死亡等により筆頭者が除籍されている場合は、その配偶者、その配偶者も除籍されている場合は、その子が届出人となります。

「名の振り仮名の届書」の届出人について

既に戸籍に記載されている方がそれぞれ届出人となります。ただし、15歳未満の場合は、いずれかの親権者から届出人になります。


(2)届出先について

氏名の振り仮名は、マイナポータルを利用して届出することが可能です。
原則としてオンラインで手続きが完結するため大変便利です。
(その他、市区町村窓口または郵送による届出も可能です。)

(3)戸籍に記載する氏名の振り仮名について

戸籍に記載する氏名の振り仮名については、「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているもの」に限られています。

ただし、一般の読み方以外の読み方を日常的に使用している場合には、現にその読み方を使用していることを証する資料(パスポートや預貯金通帳等)を氏名の振り仮名の届書に添付して届け出ることができます。

3.戸籍に氏名の振り仮名が記載されるメリット


(1)行政のデジタル化の推進のための基盤整備

 行政機関等保有する氏名の多くは漢字で表記されていますが、同じ漢字でも様々な字体があるほか、外字が使用されている場合には、データベース化の作業が複雑で、特定の者の検索に時間を要していたところ、氏名の振り仮名が戸籍上一意に特定されることで、データベース上の検索等の処理が容易になり、誤りを防ぐことができるようになります。

(2)本人確認資料としての利用

 氏名の振り仮名が戸籍に記載されることにより、住民票の写しやマイナンバーカードにも記載できるようになり、本人確認資料として用いることができるようになるほか、正確に氏名を呼称することが可能な場面が多くなります。

(3)各種規制の潜脱防止

 金融機関等において氏名の振り仮名が本人確認のために利用されている場合があるところ、複数の振り仮名を使用して別人を装い、各種規制を潜脱しようとするケースがありましたが、氏名の振り仮名が戸籍上一意に特定されることで、このような規制の潜脱行為を防止することができます。

関連情報
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