尾花沢市を象徴するものとして、雪、スイカ、花笠の三つが挙げられます。

尾花沢市は日本有数の豪雪地で、積雪は平野部でも2mを超えることがあります。市民はこの雪と共存するため、昔から工夫を凝らしてきました。市民一体となった除雪作業や、各種克雪対策を実施し、更には雪を保存し夏期の冷房に利用する雪冷房システムの実験を行うなど、雪の利活用についても研究しています。

雪は、時に美しい表情を見せてくれます。大正から昭和初期の木造旅館が立ち並ぶ銀山温泉の雪景色や、市民憩いの場の徳良湖に舞い降りる白鳥などがそうです。毎年2月に開催される「尾花沢雪まつり」では、雪を使った様々なイベントが行われ、夜には市内全域の雪灯籠に灯りが点り、幻想的な風景が浮かび上がります。

尾花沢市

 

スイカ

雪によってもたらされた豊かな水と、尾花沢盆地特有の朝夕の寒暖の激しい気候は、米、スイカ、そばなど、多くの農産物を育みます。中でも、夏スイカの生産量は日本一。「尾花沢スイカ」のブランドで全国各地に出荷されており、みずみずしい甘さとシャキッとした食感が特長です。

スイカの他にも、肉牛の肥育や、そばの生産にも力を入れています。尾花沢牛の肥育頭数は、東北一。雪国尾花沢の気候で育まれるその肉は、霜降りでやわらかく、甘味があります。作付面積県内一の尾花沢そばは、味もよく香り高いそばが打ちあがります。

尾花沢市

 

花笠

市のほぼ中心に位置する灌漑用の人造湖、徳良湖。キャンプ場や子供広場、温泉施設などがあり、市民の憩いの場となっているここは、全国的に有名な「花笠音頭」の発祥地です。大正年間、築堤工事の最中に歌われたのが「花笠音頭」の原型であり、作業中の仲間に笠で風を送ったのが「花笠踊り」の原型とされています。毎年8月27、28日には市内中心街で「おばなざわ花笠まつり」が盛大に行われ、踊り手たちが見事な笠廻しを披露しています。

尾花沢市

 

紀行文「おくのほそ道」で知られる俳人、松尾芭蕉は、山刀伐峠から尾花沢へ入りました。芭蕉は尾花沢の友人鈴木清風を訪ね、先を急ぐ道中にあって10泊も逗留しています。清風の手厚いもてなしに、芭蕉は旅の疲れを癒したといいます。現在でも、尾花沢市民はこうしたおもてなしの心を大切にしています。